イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「さっきのだって、私を諦めさせようとしてわざと実莉先輩の事悪く言ったんですよ。
それなのに私がオールオッケーバッチコイって態度だったから、それが気に入らなくて不機嫌になったんでしょ?」
「え、そうなの?」
「絶対そうですって。私、洞察力には長けてるんですよ。
ほら、男嫌いになる前は、世の男共が本当にうちのバカ兄みたいなのかどうかを確かめたくてよーく観察してたから」
「……それで、男はダメだって判断に至ったの? 観察してた全員がダメだったって事?」
「もうその時点で男に対して嫌悪感があったから、試したのは数人ですけどね。
彼女いるのに私が誘ったら乗ってきたんです。それでもう男っていう生き物は私の中でダニ同然になりました」
「ダニ……。でも、休憩中とか他の社員と話したりして盛り上がってるじゃない。グラビア雑誌とか見て」
「社員さんはもう私の内面知ってるし、グラビアとかの趣味仲間って感じですかね」
丸めた包みをぎゅうぎゅうとおにぎりみたいに握って小さくした村田さんが、それをゴミ箱に捨てる。
「自分の事を恋愛対象として見てる男は最悪ですけどね」
そう吐き捨てるように言った村田さんは、私に視線を移してじっと見つめた。