イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


「風間さんが自分を好きなんじゃないかとか、風間さんの特別な優しさとか。そういうの、本当に一度も感じた事ないんですか?」
「……風間は私の事、ただの友達としか思ってないよ」

ただ、答えるだけなのに……やけに声が出しづらかった。
見つめてくる村田さんと目を合わせていられなくて、そっと目を逸らす。

「それより早くパンフレット並べないとお店開いちゃう。もうこの話はおしまいね」

パンフレットの束のうち、半分を渡しながら言うと、村田さんはため息をついてから、はーいとつまらなそうな声で返事をした。

嘘を見抜かれなかった事にホっと胸を撫で下ろしながら、私もパンフレットを持って店内数か所にあるラックにそれを並べる。
そして、余った分をパンフレットの在庫置き場に置いてから……ぼんやりとそれを眺めた。


風間が私の事を何とも思ってないと思ってるとか、風間の好意に気づいていないとか。

そんなの嘘だ。


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