イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
しかも風間は私が待ち合わせてる相手なんていないって分かって言ってるから性質が悪い。
嘘をついてしまった手前、引くに引けないしで完全に風間の策略にはまってる。
もっと別の嘘をついて追い返せばよかった。
ひとりでいたいって素直に言っておけば、こんな強引についてこなかったのかなと考えたけど……結局何を言っても風間はついてきた気がするから、今更後悔したところで仕方ないのかもしれない。
「人の母校の文化祭なんて来たっておもしろくないでしょ」
「そうでもねーよ。こういうの久しぶりだし。大学以来か」
風間が懐かしそうな顔で言った言葉に、大学の時の文化祭が頭に浮かぶ。
色々任されちゃったお人よし祥太が中心となってかなりの盛り上がりを見せていた、四年分の文化祭が。
「祥太は今でも夏祭りとかで会社のお神輿担いだりして騒いでるみたいだけど、うちの会社はそういうのないもんね。
あっても、店頭でちょっとヨーヨーすくい作ったり綿菓子作ったりくらいだし」
「それも俺たちには関係ないしな。客とおまえらが戯れてる間、俺たち整備士は地獄のように暑い作業場で黙々と作業してるから」
「……こっちだって仕事の一環としてやってるだけであって、遊んでるわけじゃないんだから」
「分かってるよ。客に気を遣いながら笑顔振りまいて仕事するなんて俺にはできない仕事だし、バカにしてるわけじゃねーよ」