イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


今話題だというカフェは、ランチメニューもどれもおしゃれで、ドリンクも種類が目を疑いたくなるほどたくさんあって。
渡されたメニュー表にはあまり見慣れないカタカナが羅列されていて、スラスラ読むのが難しい。

雑誌で紹介されたからという理由でやたらと人の多いそのカフェに、私と祥太もいた。

いつものように「行ってみようよ。10時に迎えに行くから」とこっちの都合なんてお構いなしのメールが届いたのが今朝8時。

もう慣れっこの私は、昨日の文化祭での事もあってあまり気乗りはしなかったのだけど……。
この間、飲み会の誘いを断っちゃったし、それに今日はまぁ予定もないしなと了解の返事を打ってからノロノロと準備を始めて。
そして11時開店に合わせて、家からそう遠くないカフェに入った。

祥太の誘いは、基本、強引だ。
まるで子供のまま大きくなったような祥太は、“ここに行きたい!”だとか、“あれこれしたい!”っていう気持ちがむくむく膨れ上がると、我慢できないタイプだから。

だけど、そうなった時に誘う相手っていうのは、案外決まっていて。
本当に親しく思っている相手しか誘わないのを知っているからか、急な誘いをそんなに嫌だと感じた事はない。


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