イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
でも、突然言われても、別に特に行きたい場所も思いつかないし……と考えていると、祥太が「あ」と、何か思いついた風に言う。
「実莉、もうすぐ誕生日じゃん。そういうプレゼントでも見に行く?」
「誕生日……そういえばそうだね」
「なんだよ、自分の事なんだから忘れるなよなー。
なんかないの? 欲しいもの」
「んー。特にはないなぁ」
「もー、実莉は毎年その返事だから、本当、毎回選ぶの苦労するんだよなー。
中学ん時からずっとそうだし……あー、中学生っていう思春期まっただ中にファンシーなシャーペンとか探し歩いたの思い出した。
そん時も実莉がなんでもいいって言うから、女子中学生が群がるような店入ったりしてさー」
「そういえばあったね、そんな事。普通にノートとかでもよかったのに」
「だって女の子は可愛いもんが好きなんだろ。なのに大学ノートなんかやれないだろ。
まぁ、昔の事はいいや。それより、なんかない? プレゼントの希望。
ファンシーなシャーペンよりはいいモノ買ってあげられるけど」
色々と問題の多い彼氏ではあるけど、誕生日だとかクリスマスだとか、そういう記念日の類を適当に済ませた事はない。
多分、祥太なりの線引きとかそういうモノなんだろうけど。