イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「ああ、あの同窓会メールって称したヤツな。高校とか懐かしいなぁ。ここで昼食べたら午後行ってみるか」
「え……」
「ほら、あれ見たいし。美術部が毎年描き上げてる校舎の絵!
あれを実莉がグラウンドで描いてたおかげで、俺たち知り合って付き合うようになったんだもんなー。
俺たちの思い出の絵だよな」
ニコニコとしながら懐かしむ祥太に感じるのは、やっぱり罪悪感ではない事に落胆する。
高校での思い出を、昨日、祥太とふたりきりのモノではなくしてきたっていうのに。
あの絵を思い浮かべようとした私の頭の中には、高校生の祥太と一緒に、昨日の風間も思い出されてるっていうのに。
それに対して感じるのは、祥太への罪悪感じゃない。
ただ……あの頃の私のままだったら、今は変わっていたのかなっていう、今が違うって事を十分分かった上であの頃を懐かしむような、おかしな気持ちだった。
自分でぐるぐる巻きにして大事にくるんでしまったせいで、祥太への気持ちが、遠くにしか見えない。
祥太の浮気でついた傷なら……すぐにどこにでもいくつでも見つけて手に取る事ができるのに。
私の祥太への想いは、もしかしたらもうとっくに――。
「あ、プレゼントさ、本当に思いつかなかったら、なんかして欲しい事とかでもいいよ」
「え?」
急な提案にハッとして顔を上げると、祥太が笑顔で私を見ていた。