イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
とてつもなくひどい事を望んでいる気がして……。
そんな事を思ってしまった自分に、激しい自己嫌悪が襲う。
なんで、こんな事……。
私、そんなにひどい女だった……?
「……実莉?」
信じられない思いに俯いていると、不意に呼ばれて顔を上げる。
私の顔がいつもと違ったのか、祥太は何か言おうとしたけど、それよりも先に頼んでいたランチメニューが運ばれてきてテーブルに置かれた。
店員さんがプレートを置いてくれている間も、心配そうな顔した祥太が何か言いたそうにこっちを見ているから、にこりと笑顔を作った。
祥太を安心させたいのか……それとも、今浮かんだ何かを誤魔化したいのか。
自分でもよく分からないけど……後者のような気がした。
「おいしそうだね。いただきます」
手を合わせて言った私を、祥太がまだ不安を覗かせた目で見つめているから。
「して欲しい事、ちゃんと考えておくから」と笑うと、やっと納得したのか祥太も「分かった」と笑って、フォークに手を伸ばしてくれたからホっとする。
「おー、うまそー」
選んだおすすめプレートに乗っているのは、小さなデミグラスハンバーグとグリーンサラダ、そして控えめなオムライスが乗っていて、コンソメスープがついていた。
オムライスにかかってるケチャップがお花型だし、ハンバーグの付け合せにちょこんと乗っている人参は小さな人参型だった。人参の茎と葉っぱ部分はブロッコリーでできている。
店内に負けず劣らず可愛らしくおしゃれなプレートに、「すごいね」って祥太に声をかけようとした時。
突然、聞きなれた高い声が耳に入った。