イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「印象って、外見の?」
「はい。平気で浮気するって言うし、もっと無愛想で俺様みたいなイメージだったんです」
「無愛想で俺様……ああ、風間みたいな、痛っ!」
落ちてきたチョップに顔を上げると、すぐ後ろに風間がいて。
不機嫌な顔をしている風間に、こちらも負けじと顔をしかめる。
「盗み聞きしないでよ」
「人に聞かれたくない話ならこんな場所でしてんじゃねーよ」
私と村田さんが話していたのは、受付だ。
開店前の受付なんて誰が通ってもおかしくないだけに、悔しいけど何も言い返せない。
風間だってモップ持ってるし、フロアの掃除が終わって戻る途中に聞いちゃっただけみたいだし。
こんなところで風間の悪口言ってた私が悪い。
だけどチョップ落とされた事が納得できなくて仕返しとばかりに軽く肘をお腹に入れてやると、すぐさま二度目のチョップが落ちてくる。
そんな静かな攻防戦を繰り返している私と風間を気にするでもなく、村田さんが会話を続ける。
「まぁ、風間さんは無愛想で俺様ですけど、顔がいいからキャラにも合ってるしいいんじゃないですか?
それに、俺様なところはあるとしても常識はずれに勝手するわけでも優しくないわけでもないですし。
むしろ優しいじゃないですか」
それは……そうかもしれないけれど。
風間の前で村田さんに同意する事はためらわれて黙っていると、村田さんが話題を祥太に移す。