イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


「ああ、でも実莉先輩のダメ彼氏、話した感じ柔らかくて意外とは思いましたけど、ダメンズってよく考えてみるとそうなのかもしれませんね。
そういう人懐っこい部分があるからこそ、ダメさをそこで上手くカバーして見せてるんだろうし。
私は男が嫌いだからあんな風ににっこり笑って挨拶されたところで何も思いませんけど、ああいう爽やかな笑顔と人懐っこさにうっかり心の中に入られちゃう女の子多そうですよね」

「実莉先輩もそこにやられたんですか」と聞いてきた村田さんに困ってしまう。
内容も内容だし、すぐ後ろに風間はいるしでなんて答えればいいのやら……。

でも今更風間に何かを隠す必要もないし、と高校生の時の事を思い出しながら村田さんに答える。

「んー、そうだったかもね。いつもニコニコしてるし明るいし、誰にでも優しいし。
一緒にいると明るい気分になれるから、そういうところに惹かれたのかも。
初めて逢った時なんて私よりもだいぶちっちゃくて頼りなかったから、弟みたいに思ってたし。守ってあげなきゃとか」

「やだ先輩、男前ー!」と嬉々とした表情とトーンで言った村田さんが続ける。

「でもなるほど。最初は長所に感じてた部分が、徐々に短所に思えるようになったってわけですねー。
それなのに守ってあげなきゃーとかそういうのだけ残っちゃって離れられない、と」
「……そんな事一言も言ってないじゃない」

言ってないだけで、思っていないわけでもないだけに苦笑いを浮かべる私に、村田さんがズケズケと言う。


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