イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


帰ろうとして着替えを済まして外にでたところでたまたま風間と一緒になって、今日祥太が会いたがっていると話をした。
風間は祥太からメールが入ったからその事を知っていて、断るつもりだったらしい。
それなのに、私は行くって話をしたら、じゃあ俺もとなぜかついてくる事になった。

断るつもりだったっていうくらいだから用事でもあったんじゃないかと聞いたけれど、別にそういうわけでもないという。
本人がそう言うんだからまぁ、そうなんだろう。風間は気まぐれなところがあるから。

確かに小型犬タイプの祥太は気分が乗らない時に会うと若干鬱陶しく感じる事もあるから、別に用事があったわけではないと言った風間をそれ以上言及するのはやめておく。
ふたりきりじゃなくて私もいれば、祥太の鬱陶しさが薄められるとでも考えたのかもしれない。

「私なんか、ただ電話とっただけなのに、いっつもあんた誰?みたいな微妙に嫌な感じ出されてるんだから。
会社名名乗って丁寧に電話出てるのにも関わらず」
「へぇ。俺が出ると気味悪いくらいにネコナデ声で話しかけてくんのに。女って切り替え早いよな」
「女を一括りにしないでよ。ただ風間に寄ってくる女の子がそうだってだけでしょ。
甘え上手でいかにも女子!って感じの合コンでモテるタイプの子」
「確かにおまえはそういうタイプじゃねーな。
割とてきぱきしてるし、男女関係なく面倒見いいし。姉御肌……までいかねーけどそんな感じ。
見た目はそれなりにか弱そうなのにな」

私を分析していた風間が、歩きながらこっちを見て言う。

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