イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―


「そんな言い方……」

それでも、なんとか声を出し、そんな言い方失礼だと注意しようと思ったけれど。
そこまで言ったきり、声は続かなかった。

当たり前だ。私だって、心の奥底ではそう感じていたんだから。
みんなに優しい祥太が嫌だって……ずっと、きっと飽きるくらい思ってきたんだから。

続きを言えずに黙った私を、風間が見つめる。
心の中全部を暴かれそうな瞳に、ますます言葉を奪われてしまう。

なんで、風間は――。

「こんな言い方、祥太にひどいって? 別にひどくもなんともねーだろ。
例えばおまえがそう思ってたところで、そう感じさせた責任はあいつにあるんだから。
おまえと付き合ってる以上、他の女の気持ちを切るなんて当たり前の事だし、おまえがそれを望むのだって当たり前だ。
おまえはひどい女でもなんでもない」
「な、んで……」
「まぁ、友達の事をそんな風に言う俺をひどいと思うならそれでいいけど」

そう言った風間が、モップ片手に奥に姿を消す。
その後ろ姿を見つめながら……きゅっと歯を噛みしめた。

なんで……私の心の中に閉じ込めている思いにまで、優しくするの?
なんで、欲しい言葉をくれるの?

なんで、そんなに……。





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