イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
「浮気なんて私、許せませんよ」
そうだ。元々私はそういう事は一切許せない女だ。
祥太のだって、決して平気で許しているわけじゃない。
「でも、浮気なんて男の甲斐性だってよく言うくらいだし、女ならそれぐらいわきまえてないと」
「男の甲斐性だなんて、昔浮気をした男の人が言い訳として言っただけじゃないですか。
本当に甲斐性なら、法の上で罰せられるはずがないですし」
日本の法律は不貞行為は許可してないでしょ、とあくまでも笑顔を意識しながら言う私に、三田さんは何が楽しいのかははっと笑う。
「そんなお堅い事言ってると、嫁の貰い手がなくなっちゃうよ、立花さん。
今時、浮気なんて普通に誰でもしてるし、不倫だって珍しくないし。
まぁ、確かに大っぴらにダメじゃないとは言えないかもしれないけど……でも、浮気なんてする方じゃなくてされる方に問題があるんだよ」
さっきまで言い負かしてやろうとメラメラと燃えていた炎に、大量の水をかけるような言葉だった。
思わず黙ると、三田さんが言う。
「浮気なんかされちゃう方が悪いんだよ」
正直、カチンとくる発言だったと思う。
そんなわけないじゃないですかどんだけ都合いい事言ってるんですかって言い返したくなるような発言だ。
けれどそうならなかったのは、三田さんの言葉がそこまで間違ってるとは思わなかったからだった。