イケナイ恋事情―私の罪と彼の罠―
毎回許す私も悪くないとは言えないし、それが祥太の性格を助長しちゃっているのかもしれない。
一度目の浮気は、祥太の性格のせいだって言い切れる。
だけど、何度も浮気されたのは……浮気されてツラい思いをしたのは。
祥太と別れるっていう選択肢を選ばなかった自分のせいでもあるのは事実だ。
祥太を切り離せない、私のせい。
そんな事はもう随分前に気づいていたし、それを他人に指摘されたところで落ち込んだりはしないけど。
ふと気付けば、三田さんに傷つけられる前に私の心はもう既に傷だらけで。
傷ついた心のせいで、今も目の前で何やらべらべらと話す三田さんに返す言葉が声にならなかった。
こんな傷だらけの自分、気付きたくなんかなかったのに。
見たくなんか、なかったのに。
最近は何かあるごとに目についてしまって……今までみたいに見ない振りさえできない。
目の前の現実から、もう逃げられない――。
「三田さん、うちの受付を口説くのはやめてもらえませんか」
ぼんやりとしていた耳に、突如聞こえてきたのは風間の声。
その声に、さっきまで馬耳東風って言葉がぴったりの働きしかしていなかった耳が、しっかりと反応する。
振り向くと、奥の整備室から風間が歩いてくるところだった。
整備室は暑いのか、黒いつなぎを腕まくりしてる。