魔法使いだった男の子の話
プロローグ
「だめだ。何も起こらない」




僕は、深いため息をついた。


雨は容赦なく僕のさしている傘を叩きつける。
雨は嫌いだ。

本当は傘なんてなくてもいいのだけれど、他から見たらおかしいから。仕方なく。

そして僕は魔法使いだ。
だから早くこの鬱陶しい雨を止ませたいのだけれど…

「…………ッはぁ!」

僕は空へと手を伸ばして、雨が止むのを念じた。
しかし雨は止む気配さえしない。

何故なのだろう。


こうなったのは、つい先日の出来事だった 。

あの日も雨が降っていた。
雨なんて嫌だからまた止ませようとした。
魔法で。

すると突然雨が止まなくなった。
いくらやってもだ。

だから諦めて、その日はやめた。
そしてその日から、魔法が使えなくなった。

しかし他は違う。

他の僕以外の魔法使いは魔法が使えた。


僕だけが、魔法を使えなくなった。



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