義兄(あに)と悪魔と私
彼の憂鬱
母とおじさんの結婚式の日から、約四ヶ月。
それほど昔のことではないのに、今はとても懐かしく感じる。
あの日母の不倫の現場を目撃して、頭の中が真っ白になった。
それから時が経たないうちに、比呂くんに決定的な証拠を見せつけられ、私は咄嗟に母を庇うことを選んだ。
その選択が正しかったのかどうかは、これから分かる。
「今日はずいぶんゆっくりなのね。比呂くんはとっくに出たけれど、間に合うの?」
「もうテストも終わったし、たまにはギリギリでもいいでしょー」
「あら、そうなの?」
期末テストが終わった次の週の月曜。のんびり朝食をとる私を見て、母は少し不審に思ったようだった。
これ以上疑われてもいけないので、私は早々に席を立ち、食器を片付ける。