義兄(あに)と悪魔と私
スマホが鳴ったのは、二時間目の授業が終わろうかという時間帯のこと。
画面を見れば、比呂くんからの着信。
一瞬手を伸ばしたが、思い直してやり過ごした。
何度目かのコールの後、切れた電話にほっとする。
(気づいてるとか……まさかね)
本当は比呂くんに協力して欲しかったけれど、それは叶いそうにないのだから、やはり自分でなんとかするしかない。
そう思い直した直後、今度はメッセージの受信を告げるメロディが鳴る。
それは最近何故か少し仲良くなって、連絡先を交換した瀬戸くんからだった。
《比呂がいなくなったんだけど、知らない?》
その内容に私は戸惑った。
《学校から……だよね?》
返事を返すと、立て続けにメッセージが受信された。
《朝からなんかそわそわしてて、いつの間にか早退してた》
《比呂もう帰ってる?》
《てか》
《お前本当に風邪なの?》