義兄(あに)と悪魔と私
どうする? なんて、白々しい言葉。
この男は私が逃げ出せないのを分かっている。
怖くて、悔しくて、そんな自分が情けなくて、涙がでた。
「……続けて。そのかわり、約束は絶対守って」
「安心しなよ。君が俺に従順な限り、秘密は守ってあげるから」
私は目を閉じ、歯を食いしばる。
そして、全てを受け入れた。
何度思い返しても、身の毛がよだつ。
男の汚らわしい欲望を、一方的に流し込まれるだけの行為。
私は絶対許さない。
「ヒロ様」なんて、言ったのは誰?
目の前にいたら、ぶん殴って目を覚まさせてあげなくちゃ。
あの男は、ただの悪魔。