義兄(あに)と悪魔と私
家族四人での食事会は午後六時から。
けれど、比呂くんが声をかけに来てくれた後、待っても待っても母は戻らなかった。
(遅いな……お母さん、何してるんだろう?)
式が終わってすぐ、御手洗いに行くと言って離れた母。
一時間以上経っている。いくらなんでも遅い。
何かあったのかもしれないと、心配になった私はトイレに様子を見に行く。
しかし、そこには誰もいなかった。
(あれ……??)
入れ違いになってしまったのかと、私は新婦の控え室へと向かおうとする。
「――――」
その時、遠くで母の声が聞こえた気がした。
(お母さん? どこ?)
私はなんとなく、トイレの窓から外を覗いてみる。