義兄(あに)と悪魔と私
班決めが行われたのは翌日の昼休み。
のんびりとトイレから戻った私を待っていたのは満面の笑みを浮かべた麻実だった。
「やったよ、円! あたし、ついに」
「な、何事?」
あまりのテンションの高さに若干引き気味の私に、麻実はそれを突きつけた。
修学旅行の班分け表の紙。一班のところに私と麻実の名前があった。
そして、有坂比呂の名前に釘付けになる。
(まさか……)
きっと、比呂くんは確信していたのだ。麻実がなんとしても同じ班を勝ち取るであろうことを。
(でも、麻実が喜んでるなら仕方ないか)
一瞬そう思って、ハッとした。
(仕方ない……なんて……私)
あまりに楽観的に考えてしまった自分に困惑する。
しかしそれはまだ、ほんの予感に過ぎなかった。