義兄(あに)と悪魔と私
心が荒れるのは、比呂くんへの憎しみだ。
一生、死ぬまで、大嫌いだから。
しかし、そんなことを言うわけにもいかないので、私は反論出来ずに唇を噛んだ。
何か勘違いされてるような気がしたが、瀬戸くんのことはもう放っておくことにした。
一人で奧に進み、お参りを済ませる。
願い事はただひとつ。
(比呂くんとの縁を切って、幸せになれますように)
脳裏に浮かぶ、比呂くんと麻実の姿を打ち消すように、ひたすら願った。
母の不貞も、罪悪感も都合よく忘れた。
そんな自分勝手なことが、許されるはずがなかったのに。