義兄(あに)と悪魔と私
 
おそらく麻実はこれから比呂くんに告白するつもりなのだ。

きっと麻実は部屋には戻って来ないから、必然的に一人になる。
一人て部屋にいても気が滅入るだけだと思い、私は風呂の後も部屋に戻らず、土産物などを見て回った。

それでも、どんどん気は重くなっていった。
部屋に戻れば、カップルは誕生しているのだろう。

(嫌だ……)

「何ため息ついてんの?」
「せ、瀬戸くん!?」

土産物屋を物色中、ため息をついたところを瀬戸くんに見られてしまった。

「なんかあった? 幸せが逃げるよー」

瀬戸くんは心配する風でもなく、明らかに面白がっている。

「……余計なお世話です」
「ま、はぐらかしてもバレバレだけどな。比呂と梶川だろ?」
「別に私には関係ないから」
 
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