animal☆world
そこに一人…というか一匹の猿がやってきた。
よっぽど急いでいるのか、あたしとタマには目もくれず
<やっぱ嵐が来るそうです。>
<そうか。>
黙ってあたしたちの会話を聞いていた父猿がそれだけ言うと、<失礼します。>とその猿は去っていった。
<又吉や…。>
<わかっとる。>
さっきまでヘラヘラしていた猿…又吉というのか。彼も顔つきが偉く変わっている。
『…何事?』
<俺にもさっぱり。>
キョトンとしているあたしたちをおいて、父猿はうなずくと瞬く間にどこかに行った。
<…この山から下りるんや。>
又吉はじっとあたしを見つめる。
…は!?