animal☆world


<ええか、時間がないか全部は話せんが、今からこの山には嵐が来る。

お前さんたち、クルマっちゅうやつできたんやろ?

確実に前が見えんことになる。

今から1時間以内には来る。はよ山をおりるんや。>


『なんでそんなの…。』

今日は猛暑。晴天だ。



<そこまで言う時間ないんや。ワイも一族避難させないかんさかい。

ええな、悪いことはいわん。ワイがここで嘘言ってもなんのメリットもないやろ?
はよこの山からおりるんや。>


それだけ早口に言うと、<話せて楽しかったで!またいつか会えるのを楽しみにしとる。>

とつけ足して振り返ることなく山の奥深くに駆けて行った。





『…タマ、どう思う?』


<…嵐が来るなんて天気予報も言ってなかったしこの天気だからな、信じられないが…。>


『嘘をつくメリットは又吉達にないものね。』



うなずくタマ。



…困ったことになった。
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