彼女の首筋にキスマーク。
あの言葉を鵜呑みにして。
きっと将来を共に歩んでいくのだろう、と本気で思っていた。
……まぁその半年後には、随分と年下の女と浮気をされるわけだけど。
「そんなことで……?」
「神崎さん、いつもVネックの服着てるから。よく目に入るんですよ。」
「……そっか。」
まさかそんなことでバレていたとは。
元々小さなことにもよく気が付いて、ちゃんと周りを見ている子だとは思っていたけれど。
そんな事までわかってしまうなんて。
……まるで探偵だ。
その洞察力に驚いていると、彼がまた小さく笑った。
照れたような顔。
そして目線を少し下げて、ごめんなさい、と呟いた。
……ごめんなさい?
「……まぁ本当は、彼氏に貰ったって話してるところを盗み聞きしちゃったんですけどね。」
「え?」
「給湯室で話しているところを。」
……なんだそりゃ。
だったら洞察力でもなんでもないじゃないか。
そんなことを思いながら、目の前の人物を見る。
少しはにかむ彼は、話が逸れましたね、と更に続ける。
「神崎さん。改めていいます。」
私と彼の視線が重なる。
「俺は、神崎さんが好きです。
どこがいいとか、そんなことは今更わからないので聞かないで下さい。」