FOREVER FRIEND
この日、ユリアは昼休みが終わる前にトイレに向かった。

そして、個室から出ようとした時だった...。
トイレのすぐ外から聞き覚えのある声が聞こえて来た。それは化粧直しにきた可南子たちだった。

ユリアは可南子たちに会いたくない為、自分が個室に入っている事に気づかれないように身を潜め、可南子たちがトイレから出て行くのを待つ事にした。

「あぁ~、だっるぅ~」
「もう、9月なのにこの暑さヤバくない?」
「ウチなんて顔、テカテカなんですけど〜」
「汗で化粧落ちるから直すのがめんどくさーい」
可南子たちの話し声が個室にいるユリアには丸聞こえだった。

3人は普通の日常の話しをしながら化粧をしていた。
ユリアは早く、3人が出て行く事を願った。

そんな時‥‥。

「ねぇ、ユリアの事もういいの?どうする?」
それは真美の声だった。

えっ!?私?どうしよう‥‥どうかここ(個室)にいる事がバレませんように‥‥。

「どうするって......。
約束したんだから何もできないじゃん」
「そうだけど‥‥でも、一応謝った方がいいのかな?」
「そこまではしなくていいんじゃない?」

ん?約束?
やっぱ三井先生が何とかしてくれだんだ‥‥さすが先生。

「実はさ~、ぶっちゃけ私、ユリアの事羨ましいと思っちゃったんだよねぇ」
「あぁ、それウチも思った」
「まさかあの人に、頭下げられるなんて思ってなかったし」
「あんな事されたら逆に何にもできないよねぇ~」
「それ分かる~」

あの人‥‥?
ってもしかして!!!

『ガチャ!ドン!!』

「ねぇ!その話、詳しく聞かせてくれないかな?」
ユリアは勢いよくドアを開け個室から出てきた。

「うああああっ!?」
「えっ、何!?」
3人共、急にユリアが個室から出てきたので凄く驚いた。

「はぁ~心臓止まるかと思った」
「ビックリしたぁ~」
「っていうか何でいんの?」
「‥‥それはたまたまで、出るに出られなかったから‥‥。ねぇ、それよりさっきの話、詳しく聞かせてもらえないかな?」

‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

「‥‥‥‥‥‥うーん」
可南子が大きくため息をついて語りだした。

「本当は口止めされてたんだけど、この際だから教えてあげる。でもその代わり、ウチらが今までしてきた事、なかった事にしてもらえる?」

「詳しく教えてもらえるなら何でもいい」
「じゃあ、交渉成立って事で」
ユリアは頷いた。

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