あなたは私のお人形
プロローグ
2006年..........松下夫婦に念願の子供が生ま
れた。
子供は健康そのものであり、順調に成長し
ていった。
3歳になった美帆は人形やぬいぐるみが
好きになり、欲しい人形が目に入ると買っ
てくれるまでずっと泣きやまなかった。
それは、何処にでもいる普通の子供に過ぎなかった。
さらに月日が経ち、美帆が5歳になった頃........。
リカちゃん人形で遊んでいた美帆に母親が
話し掛けると、美帆は人形を見詰めて握り締めながらこう言い出したのだ。
「ねぇ、お母さん。なんでこの子は私の言うことを聞こうとしないの?」
「........それは人形なのよ? あのね、人形は生きていないの。
だから、言うことは聞けないのよ。わかった?」
「........。」
その後、美帆は何を思ってなのか........リカちゃん人形をとても強く握り締めながら
見詰めていた。
それから徐々に、母親は自分の娘を気味悪がる様になっていった。
「あの子は普通じゃないわ!」
その言葉を娘が眠りについた後、夫にいつも口癖のように言う様になっていった。
「何度も言うな!。あの子は人形が好きな何処にでもいる ごく普通の女の子だ。
....それを何故お前は気味悪く思うのか疑問だよ!」
その会話....
美帆は部屋の中でしっかりと耳に入っていた。