君影草~夜香花閑話~
「……」
ぽかんと、真砂は己の足先に額をつけんばかりに平伏している女子を見つめた。
何かを必死で訴えているようだが、言っている内容がさっぱりわからない。
黙っている真砂をどう捉えたのか、女子はますます小さくなりつつ、泣き出しそうな声で続けた。
「おお、お怒りはごもっともです! 命を助けていただきながら、お礼の一言も申し上げませんで! どうか、どうかお許しください!!」
真砂は後ろを振り返った。
傍にいた捨吉を見、女子を指差す。
誰だ、と身振りで聞いてみるが、捨吉は首を傾げた。
後ろのほうから長老が、小声で『千代の兄の嫁ですよ』と言い、やっと真砂は何のことを言っているのかを理解した。
ただ、何のことかはわかっても、女子の言わんとしていることは、よくわからない。
女子はひたすら、真砂に許しを乞うている。
お怒りがどうのとか、何か怒るようなことをされたっけか、と思い返してみるが、思い当たるふしはない。
ぽかんと、真砂は己の足先に額をつけんばかりに平伏している女子を見つめた。
何かを必死で訴えているようだが、言っている内容がさっぱりわからない。
黙っている真砂をどう捉えたのか、女子はますます小さくなりつつ、泣き出しそうな声で続けた。
「おお、お怒りはごもっともです! 命を助けていただきながら、お礼の一言も申し上げませんで! どうか、どうかお許しください!!」
真砂は後ろを振り返った。
傍にいた捨吉を見、女子を指差す。
誰だ、と身振りで聞いてみるが、捨吉は首を傾げた。
後ろのほうから長老が、小声で『千代の兄の嫁ですよ』と言い、やっと真砂は何のことを言っているのかを理解した。
ただ、何のことかはわかっても、女子の言わんとしていることは、よくわからない。
女子はひたすら、真砂に許しを乞うている。
お怒りがどうのとか、何か怒るようなことをされたっけか、と思い返してみるが、思い当たるふしはない。