君影草~夜香花閑話~
桜が蕾を付け始めた頃、母屋にいた真砂の元に、捨吉が息を切らせて走ってきた。
「と、頭領」
回廊に手を付き、握りしめた紙を差し出す。
さっと下座にいた男が紙を受け取り、真砂に持ってきた。
「何だ、指令か?」
多分この紙は、矢次郎からの文だ。
ということは、定期連絡か指令のはず。
別段驚くこともなかろうに、何をそんなに慌てているのだろうと思いつつ、真砂は紙を開いた。
文に目を通していた真砂の目が、徐々に鋭くなる。
その様子を見ていた捨吉は、何故か徐々に嬉しそうな顔になった。
「頭領? 指令ですか?」
横にいた長老が声をかけた途端、真砂は読んでいた文を床に叩き付けた。
「ど、どうしたのです?」
昔から真砂は怖かったが、このように怒りを露わにすることなどなかった。
皆驚いたような顔で、真砂を見る。
横から清五郎が、手を伸ばして床に落ちた文を取った。
「……」
それを読んだ清五郎の目が、僅かに見開かれる。
「と、頭領」
回廊に手を付き、握りしめた紙を差し出す。
さっと下座にいた男が紙を受け取り、真砂に持ってきた。
「何だ、指令か?」
多分この紙は、矢次郎からの文だ。
ということは、定期連絡か指令のはず。
別段驚くこともなかろうに、何をそんなに慌てているのだろうと思いつつ、真砂は紙を開いた。
文に目を通していた真砂の目が、徐々に鋭くなる。
その様子を見ていた捨吉は、何故か徐々に嬉しそうな顔になった。
「頭領? 指令ですか?」
横にいた長老が声をかけた途端、真砂は読んでいた文を床に叩き付けた。
「ど、どうしたのです?」
昔から真砂は怖かったが、このように怒りを露わにすることなどなかった。
皆驚いたような顔で、真砂を見る。
横から清五郎が、手を伸ばして床に落ちた文を取った。
「……」
それを読んだ清五郎の目が、僅かに見開かれる。