君影草~夜香花閑話~
「出来れば相手の口から、そういう情報を引き出せるほど骨抜きにして欲しいところだがな。……お前にそれが出来るか?」

 再び真砂に見られ、あきはごくりと喉を鳴らした。

 まだそんなに数はこなしていない。
 真砂に看破されたように、『女技』と言えるかどうかも怪しいぐらいだ。

 自分から男を誘ったこともない。
 いつでも受け身なのだ。

「そういうことなら、千代姐さんが打ってつけなのでは?」

「捨吉もそう言うがな。まぁ俺もそうかもしれん、とも思う。けど、あいつばかり使っていると、下が育たん。あいつの身体の負担もあるしな」

 おや、と捨吉が、意外そうに真砂を見た。
 そして、ちょっと嬉しく思う。
 やはり、以前よりは、真砂は仲間のことを想うようになったのだ。

「頭領。それを、千代姐さんに言ったんで?」

「いいや。特にあいつには話してない」

「でも、雉を獲りに行ったとき、千代姐さんも一緒だったんじゃ……」

 ちろ、とあきを見、捨吉が言うが、真砂は軽く、ああ、と頷いただけで、特に何も言わない。
 今はそんなことは関係ないので、あまり突っ込めず、捨吉はそれ以上は追及しなかった。
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