君影草~夜香花閑話~
第四章
あきと千代が指令に赴いて、早ひと月が過ぎた。
その日真砂は、母屋で清五郎と長老らと向き合っていた。
「矢次郎でもわからんか」
今の今まで目を通していた文を下ろして、真砂が言う。
「あき一人ならともかく、千代までがしくじったとも思えんな。……いや」
顎を撫でながら、真砂が渋い顔をした。
「難なく寝所に侍ることには成功しても、探っているのがバレたかもしれんな。千代はそこまで無茶はせんとは思うが、あきがぼろを出したのかもしれん」
千代は今まで、何度となく似たような任務をこなしてきた。
故に内部を探ることに関しても、慣れているのだ。
どの程度まで相手を虜に出来たら、どこまでのことが探れるかも、十分わかっている。
自分で屋敷内を探る場合も、無理だと判断したら無茶はしない。
捕まったら元も子もないからだ。
千代の場合は、失敗したら真砂からの褒美が貰えない、というところにあるのかもしれないが。
その日真砂は、母屋で清五郎と長老らと向き合っていた。
「矢次郎でもわからんか」
今の今まで目を通していた文を下ろして、真砂が言う。
「あき一人ならともかく、千代までがしくじったとも思えんな。……いや」
顎を撫でながら、真砂が渋い顔をした。
「難なく寝所に侍ることには成功しても、探っているのがバレたかもしれんな。千代はそこまで無茶はせんとは思うが、あきがぼろを出したのかもしれん」
千代は今まで、何度となく似たような任務をこなしてきた。
故に内部を探ることに関しても、慣れているのだ。
どの程度まで相手を虜に出来たら、どこまでのことが探れるかも、十分わかっている。
自分で屋敷内を探る場合も、無理だと判断したら無茶はしない。
捕まったら元も子もないからだ。
千代の場合は、失敗したら真砂からの褒美が貰えない、というところにあるのかもしれないが。