君影草~夜香花閑話~
第九章
「頭領。お千代ですがね」
里に帰ってきて五日。
母屋で真砂は、長老と話をしていた。
「診たところ、内部はやはり、酷い有様だったようで。しばらくは、動くのも辛いでしょうな」
「そうか」
里の女子で、それなりの年齢の者は、出産に関する知識もある。
里の女子が孕めば、そういった出産経験のある女子が、産婆の役割もこなすのだ。
この数をこなしていけば、女子の身体にも詳しくなる。
里にはそういった、女子の身体に詳しい老婆が幾人かいた。
家老の屋敷で非道な扱いを受けた千代とあきは、その老婆の検診を受けたのだった。
「あきのほうは、炎症が主……。でも、さほど奥までの被害はないようです。問題は千代のほうですなぁ」
「あいつは相当無理をしただろうからな。作戦を決行するまでにも、随分いたぶられたようだし」
ふぅ、と息をつき、真砂は壁にもたれかかった。
「女技は、出来るだけ使わんようにせんといかんな」
長老が、顔を上げた。
じ、と真砂を見る。
「ただでさえ、乱破の女子は孕みにくい。この上女技で、今回のように身体を壊すようなことになれば、ますます一党の人数は減っていくだろう」
そう言う真砂を、しばし見つめた後、長老は、こくこくと頷いた。
何故か嬉しそうだ。
里に帰ってきて五日。
母屋で真砂は、長老と話をしていた。
「診たところ、内部はやはり、酷い有様だったようで。しばらくは、動くのも辛いでしょうな」
「そうか」
里の女子で、それなりの年齢の者は、出産に関する知識もある。
里の女子が孕めば、そういった出産経験のある女子が、産婆の役割もこなすのだ。
この数をこなしていけば、女子の身体にも詳しくなる。
里にはそういった、女子の身体に詳しい老婆が幾人かいた。
家老の屋敷で非道な扱いを受けた千代とあきは、その老婆の検診を受けたのだった。
「あきのほうは、炎症が主……。でも、さほど奥までの被害はないようです。問題は千代のほうですなぁ」
「あいつは相当無理をしただろうからな。作戦を決行するまでにも、随分いたぶられたようだし」
ふぅ、と息をつき、真砂は壁にもたれかかった。
「女技は、出来るだけ使わんようにせんといかんな」
長老が、顔を上げた。
じ、と真砂を見る。
「ただでさえ、乱破の女子は孕みにくい。この上女技で、今回のように身体を壊すようなことになれば、ますます一党の人数は減っていくだろう」
そう言う真砂を、しばし見つめた後、長老は、こくこくと頷いた。
何故か嬉しそうだ。