にじいろオフィスの仕事術
「なに?」
「いえっ! 本当に大丈夫なんで、そんな怖い顔しないでください!」
橋爪はまだ言いたげな顔をしていたが、希美がさっさと背を向けキーボードを叩き始めたのでタイミングを失ったようだ。
(危ない危ない……)
ほっと胸をなでおろす。
しかしどうしたものかと、無闇やたらとエンターキーを苛めながら途方にくれた。
しばらくそうして上の空で仕事まがいなことをしていたものの、カレンダーからの圧力に耐えきれなくなった。
今日は金曜日。
報告の締め切りは火曜日。
資料さえあればスケジュール的には何も問題ない。
(だめだ、やっぱり探そう……)
焦らなければ大丈夫。
落ち着いて、自然体に資料を探せばきっと橋爪にもバレまい。
そうたかをくくって、希美はひっそりと資料探しを開始したのだったが、それから30分経たずしても見つからず。
――…先に耐えられなくなったのは、橋爪の方だった。
「さっきから何なんだよ……!!」
「橋爪さん、シーっ!」
希美は貧乏ゆすりをしている橋爪に慌てて人差し指を口元に立てた。
それにひるんで、少しだけトーンダウンして先を続ける。
「そもそもなんだよ、そのずさんな管理は」
「え……」
「この書類の一番下は、何の書類だ?」
指差された書類の山に目を移す。
やりかけの仕事からまだ手につけていない仕事まで、何種類かの書類がミルフィーユ状に積み重なっていた。
先ほどから探しているマル秘書類も、元はといえばここの中にあるはずだった。
「いえっ! 本当に大丈夫なんで、そんな怖い顔しないでください!」
橋爪はまだ言いたげな顔をしていたが、希美がさっさと背を向けキーボードを叩き始めたのでタイミングを失ったようだ。
(危ない危ない……)
ほっと胸をなでおろす。
しかしどうしたものかと、無闇やたらとエンターキーを苛めながら途方にくれた。
しばらくそうして上の空で仕事まがいなことをしていたものの、カレンダーからの圧力に耐えきれなくなった。
今日は金曜日。
報告の締め切りは火曜日。
資料さえあればスケジュール的には何も問題ない。
(だめだ、やっぱり探そう……)
焦らなければ大丈夫。
落ち着いて、自然体に資料を探せばきっと橋爪にもバレまい。
そうたかをくくって、希美はひっそりと資料探しを開始したのだったが、それから30分経たずしても見つからず。
――…先に耐えられなくなったのは、橋爪の方だった。
「さっきから何なんだよ……!!」
「橋爪さん、シーっ!」
希美は貧乏ゆすりをしている橋爪に慌てて人差し指を口元に立てた。
それにひるんで、少しだけトーンダウンして先を続ける。
「そもそもなんだよ、そのずさんな管理は」
「え……」
「この書類の一番下は、何の書類だ?」
指差された書類の山に目を移す。
やりかけの仕事からまだ手につけていない仕事まで、何種類かの書類がミルフィーユ状に積み重なっていた。
先ほどから探しているマル秘書類も、元はといえばここの中にあるはずだった。