【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
1.となりの席の立花くん。
わたし、成田くるみ、高校2年生にとって、
授業中の時間は苦痛でしかない。
それは、勉強がきらいだからとか、そういうんじゃなくて。
もっと、別の、理由がある…。
それは───
「成田、教科書見せて」
「え、」
左隣から聞こえてたその言葉に、わたしは思わず声を詰まらせた。
その言葉の主は、隣の席の男子・立花玲(たちばな れい)。
そう、この立花くんこそが、わたしの苦痛の原因そのものなんだ…!!
「え、ってなんだよ。え、って。まさか嫌とか言うつもり?」
「だ、だってこれで何度目…? ていうかほぼ毎日だよね!?」
よし、よく言ったわたし…!
わたしは、思ってることをハッキリと口にできない性格で。
だからいつも、「イヤ」とは言えずに立花くんの言うがままになってる。
でも、今日こそはちゃんと断るんだ…!!
ほんとは、教科書持ってんのかよ!って怒りたいけど、そこまではさすがに言えないし…。
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