【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
ピタリ、と立花くんの足が止まる。
「え? いつ? わたしがトイレ行ってる時かな? だ、誰だろ…?」
「さあ? 結構イケメンだったよ」
「えぇっ!? それってぇ、もしかして、愛の告白なんじゃなぁーい!?」
花鈴が目を輝かせて立ち上がった。
花鈴はこういう話が大好物なんだ。
でも、まったく心当たりないし。そもそもわたし、そんなモテないし。
まさか告白だなんて、そんなわけな───
「で、どこの物好きが、こいつに告白するって?」
こんどはもっと、低くて冷たい声。
すこし立花くんらしくないとも言えるような、そんな声だった。
……って、帰ったんじゃなかったの?
わざわざ戻ってきたの?
わたしをからかうためだけに。
「……へんなひと」
「あ?」
わっ!! しまった思わず心の声が!
綺麗なお顔でギロリと睨まれてタジタジのわたしを見ながら、加奈と花鈴が笑ってる。
た、たすけて〜。