【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
「……っと、噂をすれば」
「え?」
すると、ふと加奈がそう呟いて。
すこし楽しそうにしながら、教室の入り口付近を指差した。
(あ……)
加奈の指差す先にいたのは、一人の見覚えのない顔の男の子。
なんとなく、じっとこちらを見てるように見える。
もしかして、あの人が今言ってた……
そうなんとなく感じたその瞬間、その男の子とわたしの視線がバッチリと合った。
「成田さん、だよね?」
「はっ……ハイ!」
「よかった会えて。実はさっきも来たんだけど成田さんいなくてさ。ちょっと用があるんだけど、いい?」
「えっ」
手招きされたその瞬間、さっきの"告白なんじゃない?"っていう花鈴の言葉が、ぐるぐるとわたしの頭の中を回り始めた。
そう。何を隠そう、成田くるみ16さい、今まで男の人に告白なんてされたことはないのです。
もし、本当に告白だったらどうしよう……
そんなわけないとは思うけど、でも、ちょっと期待しちゃうな。