【完】立花くんは愛し方を間違えてる。


「……っと、噂をすれば」


「え?」



すると、ふと加奈がそう呟いて。


すこし楽しそうにしながら、教室の入り口付近を指差した。



(あ……)



加奈の指差す先にいたのは、一人の見覚えのない顔の男の子。


なんとなく、じっとこちらを見てるように見える。



もしかして、あの人が今言ってた……





そうなんとなく感じたその瞬間、その男の子とわたしの視線がバッチリと合った。



「成田さん、だよね?」


「はっ……ハイ!」


「よかった会えて。実はさっきも来たんだけど成田さんいなくてさ。ちょっと用があるんだけど、いい?」


「えっ」



手招きされたその瞬間、さっきの"告白なんじゃない?"っていう花鈴の言葉が、ぐるぐるとわたしの頭の中を回り始めた。



そう。何を隠そう、成田くるみ16さい、今まで男の人に告白なんてされたことはないのです。



もし、本当に告白だったらどうしよう……


そんなわけないとは思うけど、でも、ちょっと期待しちゃうな。


< 11 / 245 >

この作品をシェア

pagetop