【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
沈黙を切り裂いたその声の主はもちろん、立花くんで。
ど、どうしてわかったの!? と自分の手元を見れば。
わたしは手渡されたジュースを立花くんの手ごと、そのまま握ったまましっかりと掴んでいた……。
「っわわ、ごごめんなさい……!」
な、何やってるんだわたし!
挙動不審にもほどがあるよ……!
慌てて手を離してジュースを落としてしまい、それをまた慌てて拾うわたしを見て立花くんがクククと笑っている。
……なんだか、くやしい。
「本当に……立花くんはいつも楽しそうでいいね。わたしはいつも振り回されてばっかり!」
普段なら絶対言えないことも言えちゃうのは……
立花くんがいつもと違う格好をしていて、少し違う人のように思えたから?
それとも、修学旅行っていうトクベツな時間だから?
「……俺は、もっともっと、振り回したいけどね……」
なんて。ニヤッと笑って意味深なことを呟いた立花くんは。