【完】立花くんは愛し方を間違えてる。



……え?

今なんて言った? わたしの聞き間違いかな?




「こ、この、席…に、…?」



「そー。梶が目悪いから、前の方に変わって欲しかったんだって。仕方ねーから変わってやったんだよ」



「……」




言葉が、出てこない。


梶くんが目が悪かったなんて、初耳だよ。


それにしても、またしてもそんな、都合よく隣の席になんてなるものなのかな?




……でも、そこまで考えたそのとき。



『本当にただの偶然で、あんなずっと連続で隣の席になると思ってんの?』



という、修学旅行での立花くんの言葉を思い出して。



立花くんと席を変わったんだから、もともとの立花くんの席にいるはず……!


と、梶くんの姿を探した。




すると、予想通りその席にいた梶くんはなぜかこちらを見ていて。



目が合った瞬間、グッと親指を立てて、笑顔を見せたんだ。





───偶然なんかじゃない……!



わざとだ、絶対〜!





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