【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
「おまえのこと、手に入れるためなら
なんだってする」
「……!?」
今度は耳だけじゃなくて、顔全体がぶわわっと熱くなる。
"わたしを手に入れる"って……
それって一体どういう───
反応に困ってなにも言えないわたしに、困ったような小さなため息が耳に届いた。
そのあと、布擦れの音と、立花くんがこっちに近づいてくる気配がして。
わたしはぎゅっと目を閉じる。
耳にかかる髪をスッと退けられたその数秒後、
指とはまた違う感触が耳に触れて。
「なぁ、どうやったらおまえが手に入んの?」
耳のすぐそばで声が聞こえた。
いま、耳に触れたのは……まさか……
「おいそこの後ろの二人! 仲良く寝てんじゃねーぞ!」
……って、へ??
───いつのまにか、1時間目の授業が始まっていたらしい。
まるでデジャヴのように、ゴリちゃん先生の怒号が響き渡った。