【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
いいなぁ〜傘、なんて思いチラリと横を見ると。
そこにいたのは、───立花くんで。
思わず体が仰け反る。
ビ、ビックリした〜!
チラッとこちらを立花くんと、しっかり目が合う。
……そうだ! 入れて貰えばいいじゃん。駅まで!
「あ……」
そう、思って。
声をかけようとした瞬間、パッと目をそらして傘を片手に、ススっと歩いて行ってしまう。
「……」
……え? 待って。今完全に目があったよね?
わたしが傘持ってなくて困ってるって、ぜったいに分かったよね?
い、いじわる〜〜!!
本当に根性曲がってるよ!
……だけど、追いかけてまで「傘に入れて」という勇気はわたしにはなく。
仕方ないので走って帰るか、と思っていると。
十数歩歩いたところで、ピタッと止まった立花くん。
不思議に思っていると、不意にこちらを振り返って意地悪な笑みを浮かべた。