【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
「入れてほしーの?」
って。分かってるくせに……。
わたしがコクコクと頷いたのを見て、クスクスと笑う。
「なら、ちゃんとお願いしてみろよ。俺に入れてもらえるように」
えええ?
なにそれ! ほんとにどうかしてるよ……!
ドSをこじらせてる……。
「ぅ……あの、」
「あ? 聞こえねーな」
「……い、入れてください。駅まででいいので……」
背に腹は変えられぬ、とお願いすると、立花くんはこちらへ戻ってきて、わたしに傘を差し出す。
距離が近くなったせいで必然的に見上げると、ニヤッと笑う顔。
「素直でかわいートコもあんじゃん」
「なっ……」
「さ。行くぞ」
「あ! ……待ってっ」
立花くんが急に歩き出すから、その傘の中に入るためにわたしもついて行く。
しばらくそのまま歩いていると気がついたけど、傘の中っていうのは意外と狭くて。
肩と肩がすぐぶつかる。