【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
「あの、用って……なにかな?」
わたしは立花くんを振り切って、教室の入り口付近にいる例の男の子の元へ。
そして、恐る恐るこう問いかけた。
「成田さんって、電車通学だよね?」
「へっ? あ、うん。そうだけど…」
「いつも帰りは東駅で降りる?」
「う、うん」
「やっぱり!じゃあやっぱこれはきみのだったんだ」
「??」
電車通学?
どういうことだろう……
一人で訳のわからないことを言い出した彼に、ついていけずに、ついポカンとしてしまう。
「ハイ! これ!」
と、その男の子が差し出してきたのは、どこか見覚えのあるハンカチだった。
それは、今期の戦隊モノのヒーローがプリントされた、子ども用のハンカチ。
そして、裏面に大きな文字で"なりた"とひらがなで書かれたそれは───
ってこれ! わたしの……!!
「あの、どうしてこれ……」
「実は俺も東駅で降りるんだけどさ。そんとき、きみがこれ落としてたから拾ったんだ。すぐ追いかければよかったんだけど見失っちゃって……」