【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
「わ、わざわざありがとう…! よかった、これ弟のだから、失くしちゃったと思って困ってたんだ」
「あ、弟くんのだったんだ。そういうのが好きなんだと思ってた」
「えっ? あ、ち、ちがっ……」
「まあ、無事渡せてよかったよ。じゃあね」
そう言い残して、その男の子は颯爽とその場を去っていく。
しばらくその後ろ姿をぼーっと見ていたけど、ハッと我にかえったわたし。
……ただ、拾ったハンカチを返しにきてくれただけだった!
ここ告白なんて、一瞬でも考えてしまった自分を殴りたい…!
おこがましい勘違いをしてしまったことへの羞恥心で真っ赤になりながら、トボトボと教室に入ろうとすると、
ドンッ
「はぁ? なに赤くなってんだよ? おまえ」
「、……」
で、でた……。
立花くんが、入り口のドアのところに寄りかかって、反対側に足をかけ、わたしをとうせんぼする。
「ど、どいてよ立花くん」
「…。まさか、本当に告白なんてされたんじゃねーだろーな」
と、痛い部分を迷いなく突いてくるこのひとは、本当にわたしをいじめる天才だと思う。