【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
いつもブレないまっすぐな瞳が、少しだけ揺れて。
子供がわがままを言う時みたいに泣きじゃくるわたしの肩に伸ばされた手が。
一瞬、ためらって。触れるのをやめた。
「……言えんじゃん。ちゃんと、自分の意見」
……え?
見上げるとそこには、少し悲しそうな表情で笑う立花くんがいて。
ツキンと胸が針か何かで刺されたかのように痛んだ。
「悪かったな、散々振り回して」
違う。
「もう、しねーよ」
そうじゃない。
「分かってはいても、やっぱり面と向かって言われんのはキツイな……」
……わたしは、立花くんにこんな表情をして欲しいわけじゃない。
ただ、ただ───
(……わたしは一体、立花くんにどうしてほしいんだろう?)
そんなことも分からないくせに、こんなに一方的に責めるみたいなこと……
わたし、ばかだ。最低だ。