【完】立花くんは愛し方を間違えてる。



謝らなきゃ、とそう思った時にはもう。


立花くんはスッとわたしから離れて、今すぐにでも部屋を出ようとしていた。




……嫌な予感がした。


このまま引き止めないと、本当に立花くんがどこか遠くへ行ってしまうような気がしたんだ。




「待っ……」



「じゃ、俺もう行くから。もういる意味もないし……邪魔したな」



「……っ」




そんな風に言われちゃったら、もう何も言えないよ。



わたしは思わず、口を閉じて黙り込んでしまう。





訪れた沈黙の中、ガチャっと部屋のドアを開ける音がしてハッとする。


行っちゃう、立花くんが。





「じゃあな、成田。バイバイ」





なのに、わたしは、その立花くんの唇の小さな動きをただ呆然と見つめることしかできない。




"バイバイ"って……

これから先ずっと、じゃないよね?



明日また、隣の席で会えるんだよね?




……って、自分から突き放すようなことを言っておいて、何を言ってるんだろう。





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