【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
ぱたん、と虚しく音を立ててドアが閉まる。
その瞬間、せき止めていた涙まで一気に溢れ出して、嗚咽をあげて泣いた。
……きらいなんて、嘘。
好きにならないなんて、なんで言っちゃったんだろう。
わたしは多分もう、立花くんのこと、好きになり始めてるのに……。
だから、こんなに胸が痛いんだ。
相変わらず立花くんの気持ちは読めないのに、わたしだけが、どんどん好きにさせられてる気がしたんだ。
わたし、きっと、"きらい"なんて言っても立花くんはまた笑って。
あの意地悪な笑みで。
"本当にわたしが好きなの?"って言ったら、"好きだよ"って。
そう言ってくれる気がしていたのかもしれない。
(ずるいのは、わたしも一緒……。)
外はまだ大粒の雨が降り注いでいて、窓を打つ音が聞こえてくる。
部屋の中にはかすかな雨のにおいと、わたしの泣き声と、
後悔だけが残った。