【完】立花くんは愛し方を間違えてる。




おはよう、って。


いつもみたいに言うだけなのに、わたしにはそれができない。



それどころか、後ろを振り返ることすら。




……だって。顔を見るのが怖い。





そう、うつむいていた時だった。



「……っわ! なに?」



頭の上に、何か柔らかいものが乗せられる感触。


突然のことにびっくりして思わず、すっとんきょうな声が漏れた。



パッと手でそれを確認すると、それは……。




あ、これ……昨日、家で立花くんに貸したタオルだ。


まさか、わざわざ持って帰って洗濯までしてくれたの?




パッと立花くんのほうを見る。


すると、彼もこちらを見ていて、目が合ってしまいドキリと胸が鳴る。





「これ……」


「昨日のタオル。ありがと、返すわ」


「全然よかったのに。洗濯とか……」




って、言葉に出してしまってからハッとする。



なんかちょっと、いやな言い方に聞こえちゃったかな?


素直にありがとう、って言えばいいだけなのに。


難しい。


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