【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
それどころか、いつだってわたしを見てくれていた。
ううん。意地悪でじーっと見つめられたこともあるけど、そうじゃなくて。
人気者のはずの立花くんが、
平凡で、すぐ人に埋もれてしまうようなわたしを。
……そうだ。いつだって、見つけてくれたじゃない。
なのに、どうして気づけなかったんだろう。
どうして、あんな、突き放すようなことを言っちゃったんだろう。
後悔、後悔、後悔ばっかり。
いつだってわたしは、そう。
大切なものに気付くのは、はいつだって失ってからだ───。
*
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それからというもの。
わたしと立花くんの席の間にはまるで、高くて大きな見えない壁があるかのように……
お互いに、話すことが一切なくなった。
立花くんは相変わらず、授業中に教科書を出さなかったけど、前みたいに机をくっつけてくることはなかった。