【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
……でも、この言いっぷりからして。
やっぱり、伊武くんって花鈴のこと……。
「……ま、俺がなにを言いたいかっていうと! 玲とちゃんと向き合ってやって、ってこと」
パチンと手を叩いた伊武くんはそう言うと、ニッと笑った。
上手くはぐらかされた気もしないではない……
「……好きなんだろ? 玲のコト」
「ひぇっ!? ……そ、それは」
「バレバレだっつーの」
ニヤッと笑う顔に少し既視感を覚える。
類は友を呼ぶ、とはまさにこのことだ。
「俺、応援してるからね。ふたりのこと」
「あ、ありがと」
「じゃねー。頑張ってネ? 成田ちゃん」
ヒラヒラと手を振ると、少し急ぎ足で去っていく。
ん? 不思議に思い、時計を見ると、次の授業開始まであと2分。
……ち、遅刻する〜!!
しかも次はよりによって、ゴリちゃんの数学だ!
そしてわたしは、なにも考える暇もなく、教室までのダッシュを余儀なくされてしまったのだった。