【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
もう、なんか、だんだん、むかついてきた。
こうなったら、絶対とってやるんだから!
ついついムキになってしまったわたしは、後先考えずハンカチだけをめがけて飛びついた。
「っわ……ぶね!」
とっさのことで避けられなかったであろう立花くんの手から、ハンカチを奪い取る。
───よし、とった!
ん? あれ、でもなんか、この体勢……まずいんじゃ……
と、気付いた時にはもうすでに遅し。
わたしはそのまま、立花くんの胸に向かって思い切りダイブしていたんだ。
「……っわぷ!!」
立花くんが避けずに受け止めてくれたお陰で床にダイブ…とはならず、なんとか助かったものの。
勢いよく立花くんにぶつかって、なんともまあマヌケな声を出してしまうわたし。
鼻をぶつけた痛みのあまりハッと我にかえり、
「…ご、ごめん!」
「……」
素早く立花くんから離れると。
……あ、あれ? 何も言ってこない!?
てっきり、すぐにまた、ばかにしてくると思ったのに。