【完】立花くんは愛し方を間違えてる。
ふわっと薬品系の香りがして、開けられた窓から光とともに風が入ってくる。
ゆらゆらと、一つだけ閉まっているベッドのカーテンが揺れる。
「…立花くん……?」
小さく呼びかけても返事がない。
きっと、このベッドにいるのは立花くんなんだろうけど、今は寝ているんだろうか。
静かに近づいて、少しだけできたカーテンの隙間から中をそっと覗くと。
目を閉じて横になっている立花くんの姿が見えた。
「立花く……!」
あ、い、いけない! 起こしちゃう!
大きな音や声を出さないように気をつけながら、カーテンの中に入るわたし。
いつも余裕いっぱいの顔が、熱でもあるのか少しだけ苦しそう。
それにしても、綺麗な顔だなぁ……
このまま、ずっと見ていたい。
「……」
なんで。
最初はわたしが見られてたのに、今度はわたしが、立花くんを見てばっかでいる。